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若い人に多いおなかの不調 過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)


2025年07月01日


1.過敏性腸症候群とは?
過敏性腸症候群は、中学生や高校生など、若い世代に多くみられるおなかの病気です。腹痛や下痢、便秘などの症状が長く続くのが特徴ですが、血液検査や大腸カメラなどの検査をしても、腸には目に見える異常が見つからないことがほとんどです。
この病気には、ストレスや不安といった心の状態が大きく関係しています。自律神経のバランスが乱れることで、腸の働きにも影響が出ると考えられています。
 

2.どんなタイプがあるの?
過敏性腸症候群には、いくつかのタイプがあります。
  • 下痢型:急に強い便意を感じ、何度もトイレに行きたくなります。
  • 便秘型:おなかが張って苦しくなり、硬くコロコロした便しか出ない状態が続きます。
  • 混合型:下痢と便秘を交互にくり返します。

3.どうやって診断するの?
一時的におなかの調子が悪くなることは誰にでもありますが、6か月以上症状が続く場合は過敏性腸症候群が疑われます。排便をすると症状が楽になる、便の回数や形が変わるといった特徴があります。
診断のためには、血液検査や便の検査を行って、炎症や出血がないかを確認します。必要に応じて大腸カメラ(内視鏡検査)を行うこともあります。
 

4.治療はどうするの?
● 下痢型の方へ
若い人にとって、急な腹痛やトイレへの不安はとてもつらいものです。無理をせず、専門医と相談しながら、自分に合った薬を使って症状をコントロールしていきましょう。
● 便秘型の方へ
便は夜のあいだに作られるため、しっかり睡眠をとることが大切です。朝食後に腸がよく動くので、朝ごはんはきちんと食べて、トイレに行く時間の余裕を持ちましょう。刺激の強い下剤(センナ、センノシドの入った下剤や大黄が入った漢方薬など)はクセになりやすいため、週に1~2回程度に控えるようにしましょう。改善しない場合は、早めに医師に相談してください。
● 混合型の方へ
症状が一定しないため、さまざまな薬を試しながら、自分に合った治療法を見つけていくことが大切です。こちらも、専門医との相談が欠かせません。
 

最後に
過敏性腸症候群は、思春期のお子さんによく見られる病気です。不調を深刻に受け止めてしまうこともありますが、多くの場合は成長とともに症状が軽くなります。また、年齢とともに対処する力もついてきます。あわてず、主治医と相談しながら、前向きに治療を続けていきましょう。
                                             広報委員会 田中昌彦