アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用剤と保湿剤の外用
2025年05月01日
アトピー性皮膚炎は皮膚の炎症性疾患です。治療の基本は半世紀以上にわたり現在でも副腎皮質ステロイドホルモン外用剤(ステロイド外用剤)の外用です。ステロイド外用剤による治療で大切なことは、適切な効力(その炎症の強さを抑えられる効力)の薬剤を適切な量で外用することです。適切な量は塗ったところにティッシュペーパーをつけたら貼りついて外れない程度の厚さです。次に大切なことは、良くなってもすぐに外用を中止しないことです。肉眼的に治っているようにみえても潜在的に炎症が残っている可能性が高いからです。そして、プロアクティブ療法といって1日おき、週に2回などと徐々に間隔をあけながらしばらく外用を続ける方法が推奨されています。
次は、保湿剤の外用についてです。保湿剤には炎症を直接抑える効果はありません。皮膚炎部にはステロイド外用剤などの炎症を抑える薬剤を単独で外用するか、炎症を抑える薬剤と保湿剤を併用することが必要です。保湿剤は皮膚の水分量を増やすことにより皮膚のバリア機能を改善し、炎症の再燃を予防する目的で外用します。したがって、炎症が静まっている皮膚にこそ保湿剤の外用を続けることが肝要です。
広報委員会 武居 彰