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ー「妊婦加算」の再開には、加算要件についての厳格な運用が不可欠であるー

妊婦に対する診療内容についての説明と同意を明確にー「妊婦加算」の再開には、加算要件についての厳格な運用が不可欠であるー


 平成30年4月に導入された「妊婦加算」制度は、無秩序な算定などにより、妊婦側からの反発もあり、運用が凍結された。しかし、妊婦が安心して受診するためには、担当医師の治療薬選択が胎児への影響を慎重に考慮しての対応であることが前提であり、それが確保されることは、むしろ妊婦にとっては歓迎されるべきことである。ひとことで妊婦といっても妊娠の診断も困難な、ごく早期もあれば、出産間近の時期まで様々である。妊婦の疾患に対する治療が不十分であれば、当然胎児の健全な発育が阻害される可能性もある。また、全ての妊婦を産婦人科医に紹介するとすれば、混雑が予想されるのみならず、産婦人科以外の疾患に対する治療法に精通した産婦人科医ばかりではないため、むしろ妊婦の健康状態の回復が遅れることもあろう。
 妊婦への薬剤投与についての確たる安全性を保証することは、もとより困難なことである。しかし、「妊婦への投与は是非とも避けたい薬」、「慎重に投与したい薬」、「比較的安全性の高い薬」などの表現を用いた分類や、より危険性の低い薬剤への変更についての基本的な知識を学ぶための資料の作成が求められるところである。
 妊婦加算の運用再開には、診療に先立って、診療内容や治療薬選択についての適切かつ厳格なインフォームドコンセントの内容を書面に残すことを加算条件に加えるべきである。
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