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AI(人工知能)と画像診断 ―AIによる画像診断の実用化を急ぐべき―


2000年代に入って、コンピュータはディープラーニングという手法により自動的に学習することが可能になりました。その結果、コンピュータの性能は著しく向上し、特に画像認識では圧倒的な性能を示すようになりました。それに伴い、AIによる画像診断の研究が病理、消化器内視鏡、超音波、放射線科、皮膚科、眼科などで進んでいます。現在、AIによる病理診断の精度は、決められた時間内で診断するという条件下では、専門医を超えたようです。

一方、最近、医師による画像診断で癌の見落としが続発しています。これは、画像技術の高度化による情報量の増加が、それを処理する医師の相対的な不足を招き、人為的ミスが増えることが一因と思われます。また、見落としを減らすために専門医のチェックが必要であるとする意見もあります。しかし、専門医の負担が増えるばかりで、確実に見落としが減るかどうかは疑問です。

そこで、診断精度が高くて人為的ミスの心配がないAIによる画像診断を導入すれば、癌の見落としは減り、医師の負担も減らすことができます。さらに、癌以外の疾患の診断への恩恵も大です。したがって、AIによる画像診断の実用化を急ぐべきと考えます。

それには、AIの診断精度を高めるために大量の画像をディープラーニングにより処理させることが必要になります。大量の画像を集めやすくするために各学会でデータ収集の方法を統一しておくのが良いようです。そして、できるだけ早いAIによる画像診断の実用化に向けて医師全員が学会や大学に協力すべきではないでしょうか。