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環境問題と熱中症―真夏のジレンマ―


 昨今の夏の暑さは昔に比べて異常だと感じる。環境省の報告によると、日本における夏(6月~8月)の気温は、100年あたり1.31℃の割合で上昇しているという。1898年の統計開始以降、2024年は2023年と並び、観測史上最も暑い夏になった。今年もそれ以上になることが予想される。私たち医療サイドでは、夏の暑さは熱中症の原因となるため無関係ではいられない。また、感染症の流行などもあるため、高体温症と発熱の鑑別が重要になってくる。
 18世紀の産業革命以降、人間が化石燃料を大量に燃やし続けた結果、大気中の温室効果ガスが増加し、大気中の熱を蓄積させ、世界的な気温上昇が引き起こされている。この結果、気候変動が起こり、自然環境にも深刻な影響を及ぼす。その結果として農水産物の不作や品質低下、電力需要の増大など、社会全体への負担も増えている。また、大雨や短時間強雨の発生が増加することで、土砂災害や浸水などの気候災害を引き起こしやすくなる。良いことはほとんどない。
 こうした気候変動に対する対策として、温室効果ガスの排出削減は重要である。しかし、熱中症の話に戻ると、暑さ対策は必須となるため、エアコンの使用などを推奨せざるを得ない。一見矛盾しているが、積極的な環境温度調整もやむを得ないと思っている。以前は涼しかったのでエアコンを完備していなかったデイサービスにもお願いして付けてもらった。もちろん、しっかりと発汗して体温上昇を抑えるために、水分補給は欠かせない。