健康読本53
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 こころの病気を診断し、病名を決める方法は体の病気の場合とは異なっています。 体の病気の場合、病名は臓器の種類や部位、原因によって分類されることが多いのです。ところが、こころの病気の場合は、まだ原因(脳機能の障害)がはっきりとわかっていないため、特徴的な症状とその持続期間、加えて症状による生活上の支障がどの程度生じているかを判断して診断名をつけます。 ただし、こころの病気と決めつける前に、脳腫瘍や甲状腺機能障害、あるいはステロイドなど薬物の副作用のように、精神症状が現れやすいほかの疾患や原因を除外する必要があります。 こころの病気を診断し分類する体系に、WHOによってつくられたICD(国際疾病分類)や米国精神医学会が作成したDSM-5があります。厚生労働省の統計にはICDが用いられ(現在ICD-10、数年後にICD-11に切り替わる)、精神疾患を対象とした研究を進める場合のように、より厳密な診断が必要な場合にはDSM-5が用いられることが多いのです。表3に、DSM-5(引用3)において精神疾患として分類されている疾患を掲載します。2こころの病気はどうやって診断するのですか?6わたくしたちの健康読本

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