読本52
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 血管性認知症は、動脈硬化を起こさないように気を付ければ予防できます。一方、アルツハイマー病はどうでしょう。アルツハイマー病の発症の要因には、親から受け継いだ体質や遺伝、加齢、そして環境によるものがあります。遺伝や加齢は止めたり改善したりということはできません。しかし環境によるものは変えることができます。いくつかの研究で、脳梗塞・動脈硬化があるとアルツハイマー病になりやすいことがわかりました。ということは、脳の動脈硬化を防ぐことは血管性認知症の予防だけでなくアルツハイマー病の予防にも役立つのです。つまり動脈硬化を起こすような生活スタイルを改善することで、生活習慣病を予防することが、認知症全体の予防につながります。 生活習慣病で重要なのは高血圧、糖尿病、高脂血症です。この疾患を持っていると認知症になりやすいので、まずこれらを予防・治療しましょう。生活スタイルも大切です。定期的な運動が認知症を予防することが、いくつもの研究で証明されました。少しだけ速めのウォーキングもお勧めです。余暇を楽しみ有意義に過ごすことも予防に役立ちます。食生活ではオリーブやナッツ、野菜、果物、鶏肉といった地中海料理が認知症の予防に有効と言われますが、実は和食も認知症を予防することが認められています。また緑茶・ワインに含まれるポリフェノールが認知症の予防に有効です。 このような方法によって欧米では近年、認知症の発症率が低下してきています。さらにこの生活スタイルを守ることは認知症の二次予防にも有効であることがわかりました。つまり認知症になってしまっても進みにくくなるのです。認知症には予防方法があるのです。5認知症の予防 16わたくしたちの健康読本

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