わたくしたちの健康読本<糖尿病>49
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パクの一種が1日当たり尿に30 mg~299 mg排泄される状態を微量アルブミン尿といい、腎症の最初のステップです。この時期に血糖や血圧などをしっかり治療すれば正常にもどると考えられています。糖尿病性腎症は進行すると人工血液透析などの腎置換療法が必要になります。人工血液透析に導入される疾患としてはここ20年間、糖尿病性腎症が第一位を占めています。 3つ目の細小血管合併症は神経障害です。知覚神経や自律神経を栄養している細小血管の障害で神経機能が低下すると考えられています。神経障害は細小血管合併症のなかでもっとも頻度の多い合併症です。様々な神経障害がありますが、左右対称性の下肢中心の知覚障害がもっとも頻度が高く、「両足先のしびれ、いたみ」「足裏の違和感」などとして感じられます。他には自律神経障害による起立性低血圧、発汗異常、便通異常、勃起障害などがあります。いずれも患者さんの生活の質を低下させるものです。珍しいものとしては、特定の神経(外転神経、動眼神経、顔面神経)の麻痺がおこることがあります。神経を栄養している血管の閉塞によると考えられており、数か月のうちに自然治癒します。② 大血管合併症  大血管合併症は、脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈疾患の3つをさします。これらは、太い動脈の閉塞によりおこる疾患群ですが、糖尿病でなくても発症することがあります。ただし、糖尿病では明らかにその発症頻度が高く、重症のことが多いので、糖尿病の合併症として扱われています。血糖コントロールはもちろん大切ですが、高血圧の是正、血清脂質の是正、体重の適正化のすべてが同様に重要となります。 従来は糖尿病合併症とは考えられていなかった状態・疾患が広い意味で糖尿病合併症ととらえられるようになってきています。認知症、歯周病、大腿骨頸部骨折など様々なものが糖尿病との関連が強いとされています。糖尿病による合併症  糖尿病合併症17

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