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膝を痛がっても膝じゃない?


2023年11月01日

 病院を受診すると、通常、痛みを抱えた部位の診察と検査が行われますが、実際にはその痛みの原因が必ずしもその部位にあるわけではありません。整形外科医師の中ではこれが常識となっていますが、一般の人にとっては理解しにくいことかもしれません。よくある事例として、腰に問題があるにもかかわらず、ふくらはぎや脛に痛みが現れることがあります。この場合、腰椎椎間板ヘルニアなどの脊椎疾患が坐骨神経痛を引き起こすことがあります。幸いなことに、腰の治療によってふくらはぎや脛の痛みは改善されることが多いです。
 これまでの情報は広く知られていますが、股関節に関連する問題については警戒が必要です。股関節が原因であるにもかかわらず、痛みが膝周辺に限定されることがあります。この状況は大人と子供の両方に当てはまります。特に、自分の症状を適切に説明できない子供の場合、股関節の問題が見落とされがちです。何らかの理由で膝周辺に痛みを訴えても、膝の診察では異常が見つからない場合、股関節に問題がある可能性を検討することが大切です。特に、小児の場合、診断が遅れると問題が深刻化することがあるため、膝周辺の痛みがある場合は股関節の状態も検討することが重要です。
                                            広報委員会  出口正男