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ピロリ除菌後の胃がん


2021年07月01日

ピロリ除菌後も胃の検診を受けましょう

1.ピロリ菌とは
ピロリ菌は、胃の粘膜内で生きている細菌です。胃の表面には粘液があり、胃を守っていますが、ピロリ菌は粘液内で胃酸から自分を守って生きています。胃の中は、胃酸があるため、ほかの細菌は生きることができず、ライバルのいない環境で、のんびりと住み着いています。ピロリ菌も胃酸で死んでしまうため、胃酸の少ない5歳ころまでに感染がおこります。

2.ピロリ菌感染と胃がん
ピロリ菌感染がおこると、胃に慢性の炎症が起こります。ピロリ菌感染は、5歳ころまでに起こるため、その後何十年もかけて、徐々に胃を荒らしていきます。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因にもなりますが、長い年月による、胃の慢性の炎症に、たばこや塩蔵品など(塩辛や塩漬けなど)の発がん物質が影響して、胃がんができます。日本人の胃がんは、ほとんどの場合ピロリ菌が関係しています。
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ピロリ菌感染と胃がん発生の経過
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子供のころピロリ菌感染→慢性胃炎(数十年の炎症)→胃がんの発生!!
                        ↑   
                  タバコ、塩分の多い食生活など 

3.ピロリ菌除菌治療
ピロリ菌の除菌治療は、三種類の薬を組み合わせて、1週間服用します。1回目で除菌成功される方は、75%程度で、成功しなかった方は別の方法で再度除菌治療を行います。2回の除菌治療を含めると、ほとんどの方は除菌ができます。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、ピロリ菌感染胃炎に保険適応が認められ、多くの方々が除菌治療を受けられています。

4.除菌治療後の胃がん
除菌治療を行うと、胃の慢性の炎症が改善されます。胃がんの発生が、半分から三分の一まで減りますが、残念ながらなくすことはできません。除菌治療が行われるようになって長くなりましたが、最近は除菌治療後の胃がんの発見が増えています。令和1年度に長野県で行われた胃検診で発見された胃がんは、64例でしたが、そのうち13例がピロリ除菌後の胃がんでした。

5.除菌治療後も胃の検診を受けましょう
除菌治療をされても、胃がんの発生は残念ながらゼロにはできません。長い年月をかけて、胃が荒らされた影響が残るためです。除菌治療を受けられても、油断せずに胃の検診を受けましょう。