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周回遅れのワクチン開発
―ワクチン敗戦からの復活はあるのか―


 ワクチンはCOVID-19に対するゲームチェンジャーとされている。わが国では2021年2月17日からファイザー社のmRNAワクチン接種が始まり、7月21日の時点でワクチンの累計接種回数は7450万回となり、65歳以上では2回接種が63.8%に達している。mRNAワクチンの発症予防効果は約95%、重症化予防効果は約90%と言われ、わが国でもワクチン接種を済ませた65歳以上の感染者数が、未接種者の10分の1以下に減少したと報告されている。残念ながら未だ国産ワクチンはない。ワクチン開発では日本は米国、英国、中国、ロシアばかりか、インドやベトナムにさえ後れを取り、海外からのワクチン調達も遅れ、接種率もOECD加盟国で最低ランクであり「ワクチン敗戦」と揶揄されている。わが国のワクチン開発はどうして遅れたのか。実はわが国でもmRNAワクチンは開発研究されていた。2016年に医薬基盤研究所、第一三共などの共同研究で、パンデミックに備えてmRNAワクチンの開発を始められ、2018年までに、MERSなどの感染症ウイルスに対して順調に開発が進んでいた。しかし、MERSが韓国で収束し日本に上陸しなかったため、国が予算を削減して研究が停滞した。日本とは対照的に、米国、英国、中国、ロシアはワクチン開発を「国防・安全保障の柱」と位置づけ、欧米では数千億円規模の予算を投入して研究開発を進めていた。「コロナ戦争」に対する防衛力であるワクチンを他国に依存するようでは国の自主独立が保てない。mRNAワクチンの開発では後塵を拝したが、塩野義などが開発している遺伝子組み換え蛋白ワクチンや経鼻ワクチンが早くわが国から登場することを期待したい。