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スノースポーツに内在する危険性
―スポーツならばルール順守の徹底を―


 筆者が勤める施設では令和2年1月-3月の期間だけでスノースポーツ関連脊椎脱臼骨折(脊髄損傷)の緊急手術が6件ありました。ほとんどが10-20代の若者であり、練達のスキーヤーやボーダーではなく、初中級者ということも特徴でした。全国スキー安全対策協議会が毎シーズンのスキー場傷害を報告していますが、それによると2018/2019 シーズンの調査結果の特徴として、スキーの受傷率がこの 20 年間で最悪を記録し、またスノーボードの受傷率も過去 10 年間でワースト 3を記録したそうです。スキー用品・用具メーカー各社の努力によってスキー用品の安全性能が高まり、各スキー指導団体の安全なスキー指導方法が確立されてきているにも関わらず、一向にスキー傷害が減っていないのが現実です。同協議会は「スノースポーツに内在する危険」「スキーヤーの責務」「スキー場管理者の責務」を提示して啓発を行っていますが、スキー場に行く若者たちの自主性には届いていないのかも知れません。モータースポーツの世界では、サーキット毎のライセンス(有料で講義を受け、毎年更新が義務)がないと各サーキットを走行することができません。中にはライセンス不要の“体験走行会”というイベントもありますが、走行前には1時間ほどの安全講習ブリーフィングが義務付けられています。コースインする際の安全性確保やコース上の危険性などについて熟知することを課して初めて走行を許可するものです。同様にハイスピードで滑走するスノースポーツでもそれくらいやらないと人生を台無しにする脊髄損傷の若者が増えていくのは必至でしょう。スキーやボードをスポーツとしてみるならば必要な制度だと考えます。リゾート的な感覚で緩斜面をゆっくりのんびり滑走するだけならば不要でしょう。スポーツとしてスキーやスノーボードを楽しむならば、安全確保のために何らかの強制性が必要です。しかし現状でそれを課するとスキー場にお客さんは来なくなり、経営が圧迫されます。それでもゲレンデに作られたジャンプスポットを安全講習も受けていないスキーヤー、ボーダーに提供することは管理者としても責任を放棄することになります。昨日も今日も脊椎脱臼骨折緊急手術が続きます。ゲレンデにジャンピングスポットを見かけると「素人にジャンプスポットなんかを用意するな!」と言いたいです。