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高等教育無償化 ―意欲と学力およびその持続性による絞り込みが必要―


第48回衆議院選挙の公約において各政党は、こぞって幼児教育の無償化と高等教育(大学および専門学校)の授業料の減免や無償化を挙げた。与党・自民党と公明党は授業料減免と給付奨学金の拡大を提示した。しかし、進学者への無条件の無償化は、高等教育への進学率の上昇を引き起こし、人材育成という本来の目的を達成できないままに国家財政への圧迫となり、当初の思惑に相反するものとなる事が危惧される。

教育費とその間の生活費を国家財政から支給される資格を、どのような客観的基準で決めるのか、文系・理系、あるいは医学部や薬学部はどうなるのかなど、詳細な議論は殆んど為されていない。目的が単なる格差是正や貧困の連鎖を止めるためならば、貧困層に金銭的援助を与えるのではなく、個人の真の自立を促さなければ、根本的な解決策とはいえない。学問を志す者に、少なくとも高等教育無償化の資格を与えるためには、厳格な学力検査がなされる事、さらに入学後の成績の持続についての経過観察も重要な要素であろうと考えられる。

親の経済力に学費捻出の余力があるか否かではなく、当の本人の学力と意欲に対する学費や生活費の援助でなければ、納税者である国民から真の賛意は得られないのではなかろうか。