TOP > 長野県にお住まいの皆さまへ > 長野県医師会の活 > けんこうの小径 > 若里だより > ペット由来の感染症 ―節度ある触れ合いが必要―

ペット由来の感染症 ―節度ある触れ合いが必要―


近年、ペットを飼う人が増加し、30%以上の世帯で何らかの状態でペットを飼育しているといわれている。ペット由来の感染症は、「動物由来感染症」とか「人畜共通感染症」呼ばれ、狂犬病、パスツレラ症、ネコひっかき病、オウム病、Q熱、トキソプラズマ症、イヌ回虫症など、様々な病原体によるものがある。

ことに最近は人間とペットとの距離が近くなり過ぎ、食卓や寝室へも自由に入ることができる家庭もあり、そのため容易に飛沫感染のみならず、唾液や糞便を介した感染も起こり得るようになってきた。

また、森林などに生息するマダニが媒介するウイルス感染症の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」のウイルスに感染したペット犬を看病した飼い主が、その後SFTSを発症した事例が報告された。その飼い主はペットに咬まれたわけではなかったため、汚染された唾液、血液、糞便などを介して感染したと考えられている。SFTSはこれまでに国内で315例が確認され、60人が死亡しており、その致死率は20%と高い。原因不明の感染症が疑われる患者を診た場合、医師はペットの飼育の有無について質問をすることも大切である。

ペット由来の感染症は、動物の健康状態に留意し、咬まれないように注意すること、また危険のない適切な距離を保ち、節度ある触れ合いにとどめることなどにより、感染予防が可能である。飼い主は適切な服装と手袋などを着用し、世話をした後には十分な手洗いを行うべきである。