読本52
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② レビー小体型認知症 レビー小体型認知症はレビー小体という異常タンパクの塊が脳のなかに溜まってくる病気です。この病気の認知症の特徴は、視覚を司る後頭葉の機能低下が早くから起きて幻視が出やすいという点です。幻視はありありとした人や動物、虫などが見えることが多く、妄想なども出現しやすくなります。健忘などの症状もおこってきますが、これらの認知機能がとても変動しやすく、正常のようにしっかりしているときがあるかと思うと、別の時はとっても症状が悪くなるという点もこの病気の特徴です。 レビー小体は大脳だけでなく、脳幹や自律神経などひろい範囲にたまってくるため、認知症以外のさまざまな症状を同時に引き起こします。ひとつはパーキンソン症状です。もともとパーキンソン病とレビー小体型認知症はどちらもレビー小体が原因となる兄弟のような病気ですので、レビー小体型認知症でも、ふるえ、体が固くなる、動きが鈍くなる、歩行が小幅で転びやすくなる、姿勢が前かがみになる、などパーキンソン病と同様の症状がみられやすくなります。 ほかの症状としては、睡眠をコントロールする脳の機能障害から、夢をみて大声で寝言をいったり暴れたりするレム睡眠行動障害といわれる症状もこの病気ではよくみられます。自律神経という血圧や消化管、膀胱などを調節して体の生理機能を保つ神経がありますが、この神経もレビー小体によって壊されることから、立ち眩みや失神、便秘、尿失禁といった症状も出やすくなります。レビー小体❶幻覚・幻聴実際には存在しないものを、見たり聞いたり感じたりします。❷パーキンソン症状手足が震えたり、筋肉がこわばったりします。❸症状が変動する日や時間帯によって症状が変わります。❹レム睡眠行動障害睡眠中に大きな寝言を言ったり、腕や足を大きく動かしたりします。❺自律神経障害立ちくらみや寝汗、頻尿や便秘など、様々な体の不調が生じてきます。特徴7認知症の原因

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