読本52
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① アルツハイマー病 認知症の原因として最も多いのがアルツハイマー病です。この病気は神経変性疾患のひとつで、脳の中にアミロイドβとタウタンパクという異常なタンパク質がゆっくりと溜まってきます。これらのタンパク質がだんだんと脳神経細胞を壊してくるのですが、最初に壊れてくるのが海馬です。海馬というのは脳の奥に隠れるように存在している、記憶をつくるために大切な脳です。アルツハイマー病の早期には、この海馬が壊されることで記憶をつくることができない、要するに新しいことが覚えられないという症状から始まります。 加齢などに伴う普通の物忘れは、ちゃんと記憶したことがなかなか思い出せないために起こります。ですからヒントを与えられると、「ああそうだった」と思い出すことができます。ところがアルツハイマー病の場合は海馬の働きが壊れてきているために記憶させることができない、つまり覚えていないわけです。ですからどんなにヒントを与えられても思い出すことができないという特徴があります。頭頂葉側頭葉海馬アミロイドβタンパクタウタンパク健常者アルツハイマー病海馬異常なタンパク質の増加により萎縮した海馬と脳(黒い部分は、脳内にできた空洞)5認知症の原因

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